#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
それでも、とにかくいつも通りに戻ろうした。
「だったら帰れば?」
と美聖の背中に返事がきてしまったことで、その時初めて誰かに聞かれていたのだと気がつく。
美聖が慌てて振り向いた先には───息吹がいた。
息吹はスポットライトなどなくても異彩を放っていた。
しかし、今、美聖の前に立つ彼女は、カメラに向ける笑みなど一切なく、ただひたすらに苛立ちを滲ませていた。
「なんでこの仕事受けたの?」
「……」
「私たちの邪魔するつもりなら許さないから」
「……」