#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
普段通りを装ってみても、いつもらしくないのは、マネージャーの片平はもちろん、翠や他のスタッフにもなんとはなしに気を遣われているのがわかってしまう。
「柊さんってバラエティーでも人気なのに、あんまり出ないですよね」
「用意されてない台詞には滅法弱いから」
「そんなことないのにな」
俳優業を始めて、美聖は台本が好きだと思った。
用意された言葉たちを、どこまで自分の力で伝えきれるか、その言葉の意味を、どうすれば最大限に表現しきれるか考えるのは難しいけれど、楽しかった。
熟考することには長けてきたというのに、それに反して直感に関しては立場が邪魔で身動きが取れない。