#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化





木村は同じムーンプロダクションで働く同期だ。芸能マネージャーでも片平は俳優部門へ配属され、木村はアイドル部門へ配属された。そして現在、木村はcoc9tailの担当である。


ふたりで裏方のすぐそばに立って、声を潜めて話す。


「笑ってんな。まあお前も解散とか色々大変だろうけど」

「そんな簡単に大変って言わないでよ。そんな安いもんじゃない」

「そりゃあ僕だって今もし美聖さんに引退するって言われたら靴の底舐めてでも縋るよ」

「私だってそうだったわよ」



はあ、と木村が溜息を零す。連日の疲れからか、目の下にはクマができている。


ムーンプロダクションほど事務所が大きいと、各部門ごとではっきりと仕事が分かれてしまうため、他の部門の情報はちっとも知らないことが多い。




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