#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
美聖の大きな手に、彼女の小さな顔はすっぽりと包まれてしまう。
テレビ局の簡易休憩所で、今や芸能界の絶対なる人気を誇る男女が、互いの手で、互いの顔を包み込みあって、見つめあっている。
「息吹さん、俺と、」
美聖の真剣さに、息吹も瞬きひとつせず、美聖を見つめている。
美聖は、今までにない緊張で乾いた喉を無理やり動かす。もう、間違わない。息吹と、離れたくない。
「俺と、お友達になってください!!!」
美聖の声は緊張のあまり音程が転んで、譜面から飛び出た不協和音のようになる。