#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
美聖の心休まる場所などひとつしかない。──息吹だ。
ここ最近の彼が不安定だったのは、確実に息吹に関することだろう。
美聖は息吹のことで悩み、今日、息吹で救われたのだろう。
「(息吹さん、僕のためにも美聖さんとワンチャンないだろうか)」
そんなことを思いながら、片平はちらりと鏡越しに後ろの美聖を見る。
緊張し過ぎて今までに見たことがないほどそわそわする美聖に、ああ、道は遠いなと悟った片平であった。