#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
美聖にとって、同じテーブルで、しかも向かいの席に息吹が座って、その上、一緒に食事を取るという、もはやイベントに、胸がいっぱいだった。
口いっぱいにご飯を頬張って一生懸命、なんなら少し苦しそうに咀嚼している息吹が、美聖は可愛くて愛おしくて堪らない。
「(ハムスターみたい…)」
息吹はお水を飲みながら、大きな黒目で店内を見回す。美聖は息吹の動きをひたすら満面の笑みで眺める。
「美聖くんはここのカフェよく使うの?」
「ん?うーん、俺はどうしても外で撮影が多いからそこまで使わないかな。でも、珈琲とかはよくここで買ってるよ。美味しいから」
「そうなんだ」
息吹の物珍しそうな視線は、ずっと通っていた芸能事務所に併設するカフェに対するものとは思えない。