#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「息吹さんは?」
その瞳の真意を探るために美聖が問えば、息吹は、すぐに首を横に振った。
「ご飯は初めて。飲み物もマネージャーとかメンバーが買ってきてくれたのを飲んだことがあるだけで」
「事務所にいる時はどこで食べてるの?」
「休憩室で、サラダとかゆで卵とか」
「……それだけ?」
「うん。あとサラダチキンとかも食べるけど、私、食べ物気をつけないとすぐに顔とか浮腫んじゃうから」
そう言ってソイミートの唐揚げを口に運ぶ息吹は、美聖からしてみれば、細すぎるくらいだ。
激しいダンスや鬼のように忙しいスケジュールをこなしながらそれにともわない食事量。息吹のプロ意識に尊敬と心配が重なり合う。