#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




《──仲良くしてあげて。あの子、ファンはたくさんいるけど、友達は少ないの、特に男の子の友達なんて、今まで聞いたことない》

《──息吹は優等生過ぎるところがあるから》



美聖はフォークに巻かれたままのパスタを見下ろす。息吹に夢中で正直、味なんてわからなかった。


でも、きっと、2回目なら、味覚も一緒に、息吹との思い出をより深められる。


欲張りだけれど、美聖がそうであるように、息吹にだって思い出は多くあって欲しいと願う。




「美味しかったならまた食べに来ようよ。楽しかったならまた行こうよ。この世に存在する"絶対"なんて、"人は生まれたら死ぬ"ことぐらいだと思うから」




美聖が息吹に何かできるかなんてわからない。できるほど自分が何かを持ち合わせているとは思わない。


彼女は全てを持っているから。ただ、全てを持っているからって、幸せかどうかはわからないけれど。


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