#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「それ以外は何度でも"次"があっていいと思うよ」
だから、息吹に直接『要らない』と言われるまで、美聖が持っているものを、息吹に分けたい。それがどんな些細なことでも、小さなことでも。
美聖が幸せだと感じたものは息吹にも見せたいと思う。独りよがりなのかもしれない。自己満足なのかもしれない。
でも、それでほんの少しでも息吹の口角が上がるなら、美聖はどんなことよりも嬉しいのだ。
「それにね、」と、美聖は続ける。
「……うん」
息吹は食べる手を休め、ただじっと、静かに美聖の話に耳を傾ける。
遠目でふたりの様子をちらちら窺っていた店員たちが、息吹のその美しさに思わず固まる。