#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化





横にスワイプすると、アプリの加工で遊ぶ息吹の写真になる。猫の耳と鼻とヒゲを付けた息吹が、楽しそうに笑っている。




「(ああ、どうしよう、)」




さらにスワイプした先には、頬杖をついて真っ直ぐと画面を見つめ口元だけをゆるりと持ち上げた息吹がいる。


細い腕に、細い首、小さな顔に、大きな瞳。黛 息吹という存在を象る全てが美聖には尊い。


息吹の存在がこの世に存在しているだけで美聖はもう充分だった。それなのに、最近は、息吹との時間を重ねる度に。




「(……会いたいなあ)」




美聖のスマホの中だけで笑う息吹の存在が大きくなっていく。息吹への想いが別の形をして膨らんでいく。


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