#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「え……?」
美聖は息吹を追いかけて振り返り、彼女のいない練習室の扉を眺める。
パンケーキはまずかったのだろうか。ライブ中だし、さらに体の管理は厳しいはずだ。でも、先日会った息吹があまりにも細すぎて美聖は心配になってしまった。
美聖が立ち尽くしていると遠ざかった足音が再び近づいてきて、扉の前に息吹が現れる。その顔は美聖の予想に反して笑顔だった。
そして、息吹が顔の前に掲げたのは。
「あっ、」
美聖が買った同じお店のパンケーキだった。
息吹は楽しそうにけらけら笑いながら袋の中を覗き込みながら、美聖のもとへ戻ってくる。