#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




硬直したまま目を瞑る美聖の手が、ふわりと暖かく包まれる。


美聖が驚きで目を開けた先には、彼の手を両手で包み込む息吹がいた。



人形のように美しい顔が、宝石のように輝く瞳が、美聖を見つめている。



息吹は美聖が何度握手会やハイタッチ会に訪れても、彼を俳優の柊 美聖として扱う事はない。他のファンと同じようにする。


美聖はそんな彼女に会いに行くことが活力であり、癒しだった。




「今日は来てくれてありがとうございます」




凛と鈴のように柔らかさの中に芯のある声。


吸い込まれるような美しさは、彼女の完璧な容姿と、完璧なアイドル像だからそこ実現できる賜物だ。


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