#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




「撮れた?」

「あ、うん」

「見せて」




息吹は美聖の隣にやってくる。スマホの画面を覗き込む息吹は自然と美聖にぴったりとくっつく体勢になる。



「(近い…近い近い近いかつて人類がこんなに神に近づいたことがあっただろうか…っくっ、眩しい)」


さらりと流れるような濡鴉色の髪と、相反する息吹の真っ白な耳裏や細い腕が、美聖の視界を錯乱させる。鼻腔をくすぐる柔らかな花の香りもだ。



息吹がくるりと振り返り美聖を見上げる。長い睫毛の中央で、黒い瞳が美聖を映し出す。


彼女の指が美聖のスマホの画面を指さす。そこには、完璧な笑みで写真に収まる女神がいた。



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