#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「どう?」
息吹の問いに、美聖は間髪入れずに「完璧なる女神の化身です」と言う。と、息吹はキョトンと瞬きを繰り返してから、白い歯を見せて笑った。
そうして美聖から少し離れて座り直すと、笑みはそのままで、ふ、と目を伏せる。
「……完璧の裏側って、ぼろぼろで空っぽなんだよ」
息吹の睫毛が白い頬に影を落とす。いつも宝石を詰め込んだような瞳には伏せられた瞼で光がひとつもない。
彼女の儚さが増し、徐々に息吹が石化してその美しい姿のまま時を止めてしまうのではないか、と美聖は謎の焦燥感に襲われる。