#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「最後までその期待に応えさせて。」
「、」
息吹の力強い言葉に、美聖が弾かれたように顔を上げる。
目が合うと、彼女はあまりにも綺麗な顔を優美に緩ませる。
「泣かないで。私はファンを笑顔にするためのアイドルだから」
ね、と微笑む息吹に、美聖は涙を零しながら、うん、と頷く。
スタッフは、もう時間だと告げなければならないのに、その美しすぎる空間に入るのが憚られる。
「(王子えぐっ)」
「(息吹さんと美聖さんの絵面やばいだろ…)」
「ありがとう」と美聖が眉を垂らして笑う。
周りがその王子の笑みに心臓を撃ち抜かれている中、息吹は決してアイドルの立場を揺らがせなかった。