#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化






「家賃もちゃんと払うし、光熱費も水道代も生活にかかるお金はきちんと出します。」

「え?あの、息吹さん、」

「ツアーとか撮影で家にいないことも多いから美聖くんに迷惑かけることも少ないと思う。眠れる場所さえ貰えたら嬉しいし、荷物はキャリーひとつぐらいだから、衣装部屋とかでもありがたいくらい」

「いや、待って、あの」

「だから、正式に引越し先が決まるまでの間、美聖くんの部屋に住まわせてくれる?」




息吹の問いに、美聖は口をかすかに開けたまま何も言い出せない。



言わなきゃいけないことはある。



俳優とアイドルという芸能人同士が一緒に暮らして記者にすっぱ抜かれたらまずいということ。


そもそも芸能人同士じゃなくても、友達といえど男女が同じ屋根の下で一緒に暮らすことになったらまずいのではないか。


でも、美聖の口から零れ落ちたのは、ずっとずっと、ずっと彼の胸の内で膨れ上がっていたものだった。


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