#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「私だって結婚するよ、いつかね」
「……え?」
「変な噂に踊らされてる美聖くんをからかおうとしただけなのに、なんで返り討ちに合わなきゃならないの」
「……えっと、」
息吹は荷物を纏めるために再びしゃがみこみ、手にあれこれと抱え込む。その顔は綺麗なのに、頬は赤く、拗ねた子供のようで可愛い。
唖然とするだけの美聖に、息吹は荷物を抱え込んだまま言う。
「知ってる?結婚てね、相手がいないとできないんだよ」
「……神様もやっぱり相手が必要なんだ、?」
「何言ってるの?結婚しようにも私はまだできないの。相手がいないから!」
そう言い捨てて立ち上がった息吹は「先に行くね」と練習室を出て行ってしまった。