#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




身支度を整え、木村の迎えが来た息吹が玄関に向かう。その後を美聖も追いかける。




「今日は帰り遅くなると思う。あ、美聖くんは向こうのホテル泊まるんだっけ」

「うん。雨も降りそうにないからみっちり撮影してくるよ」




美聖は今日も映画の撮影がある。ロケ地がかなり遠いのでそのままホテルに泊まるスケジュールだ。美聖が帰ってきたら今度は息吹がツアーで地方に飛ぶ。こんな繰り返しだ。




「お互い頑張ろうね」

「うん」



スニーカーを履いた息吹がくるりと振り返る。寝起きとは違い、あまりにも美しい息吹の双眸が美聖の顔を見上げる。口元の笑みが少しだけ悪戯を孕んでいて、美聖はさりげなく身構える。



息吹は朝が弱くて、朝食は和食が好きで、実はイタズラが好き。



ファンに留まっていたら知ることのなかった息吹の一面に、今、美聖は確実に触れている。



< 291 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop