#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




美聖は、その眉間に、とん、と人差し指を当てる。息吹が驚いて見上げた先で、砕けたように笑って告げる。




「息吹さんは何してても可愛いよ」

「、」

「今も。カメラがなくても、綺麗な衣装がなくても、メイクしてなくても、可愛い」



美聖の言葉に、息吹は慌てて玄関の扉へと身体を向ける。そうして、背中越しに美聖へ呟く。




「美聖くんってずるい」



そう言って振り返った息吹は悔しそうに唇を尖らせて、猫のように大きな瞳で美聖を睨みつけると。




「きゅんとした」




なんて言うや否や「いってきます」と慌ただしく家を出ていった。




「へ……?」




美聖は息吹がいなくなった扉を見つめ、そのままずるずると壁越しに倒れ込んだ。



< 293 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop