#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「どうしよう…息吹さんが綺麗過ぎて直視できない…」
そう言って両手で顔を覆った。現場慣れして美聖の息吹愛を知るスタッフたちはくすくすと笑い、新人スタッフは驚きながら美聖をまじまじと見つめる。
「ちゃんと見てくれなきゃ困るよ。撮影するんだから」
息吹は慣れた様子で美聖の顔を覆う手に自身の手を伸ばす。息吹の手に従い、素直に顔から手を離した美聖は、未だに目をぎゅむ、と瞑っている。
「美聖くん」
「うん…うん…わかってるよ。わかってる。本番までには頑張るからっ、だからその、あんまり可愛くて綺麗な息吹さんに今見つめられると、目が…、開けられない、です」
「見てないから開けて」
「いや目を閉じててもわかるよ。息吹さんのオーラが俺を見てるって」
「怖いよ」
圧倒的美男美女が仲睦まじい姿に、慌ただしい現場も思わず手を止め足を止め、ふたりの子供みたいなやりとりを眺めてはほっこりしてしまう。