#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




撮影は天候にも恵まれて順調だった。


10月末ともなると紅葉に飛んでいた木々から色が落ちて、寂しくなりつつある。寒さに弱い翠はすぐに鼻の頭を赤くしてしまう。


息吹はライブと並行して台本を読み込みぶっつけ本番にも関わらず、NGを出すことなくその美しさを遺憾なく発揮していた。


スタバを飲みながら休憩する翠のすぐ近くで美聖は、遠目に見える息吹にスマホを向けて連写している。


その横でマネージャーの片平が薄目で美聖を見ながら言う。



「美聖さん、撮りすぎじゃありません?」

「……そんなことないよ」

「何枚撮ったんです」

「……に、にじゅうまいくらい?」

「50はいってますね」



ふたりのやり取りを聞きながら翠は、突っ込まずに息吹を見る。


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