#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
息吹は口端を下げてどこか不服そうに眉根を寄せている。若干尖っている唇があまりにも可愛くて、指でつまみそうになるのを、美聖はグッと堪える。
顔は見せてくれたが、クッションを抱きしめたまま息吹は拗ねたように何も言わない。
美聖はそんな彼女を見上げて、努めて優しく問いかける。
「息吹さん、ごめんね。俺、何か気に障ることしちゃった?」
「……」
「息吹さんが嫌がることはこれから先、繰り返したくない。だから教えて欲しい」
美聖の切実な言葉に、息吹の眉根が微かに動く。俯く息吹の髪がさらりと前へ落ちて、彼女の真っ白な頬に触れる。
美聖はゆっくりとその髪に指先で触れて、彼女の耳に優しくかける。息吹の小さな耳が愛おしくて、美聖は思わずその耳を指先で撫でてしまう。