#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化



会場にみちみちと人が詰め込まれている。ここにいる全員がcoc9tailのファンなのだ。




「…ぐすっ…coc9tailってやっぱり凄いなあ…」

「うちの看板ですもん。伝説のグループですよ」

「うん……俳優業休止してでも全公演行けばよかった……」

「その話ぶり返すのやめてください。僕の胃が痛くなります」

「ごめん」

「今日coc9tailのラスト観れるんですから」

「うん……」




今日ばかりは関係者席でよかったな、と思いながら、美聖は自然と溢れ出す涙をひたすら拭いながらcoc9tailを待った。



開演時間になり、会場が一気に暗くなる。客席から歓声が沸き、ステージのスクリーンにオープニングが流れ始める。



そこには、9人の幼い姿が映し出される。初出の映像だ。右下に表示された日付は、彼女たちがデビューする1年前のもの。息吹はまだ中学生だ。


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