#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「今まで黙ってたんですけど実は僕、優衣推しなんです。美聖さんに連れられてcoc9tailに会いに行くたびに優衣の健気なところに惹かれて」
「どうしてすぐ教えてくれなかったの?」
「美聖さんの最推しは息吹さんじゃないですか。息吹しか勝たんみたいなノリじゃないですか」
「俺はcoc9tail箱推しだよ……」
「言い方変えます。息吹さんにガチ恋じゃないですか」
「……。」
片平は暗闇の中、微かに見える美聖の美しい顔を見つめて言う。
「好きな子ひとりぐらい、いい加減射止めてくださいよ。国民の王子」
片平なりの応援だった。マネージャーとしてではなく、同じライブを見に行く同志として。
ずっと美聖が息吹を推すのを見てきたのだ。じれったいラブストーリーよりもじれったい。
片平の言葉に、美聖が鼻を啜って、白い歯を見せて笑った。