#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「がんばるよ」
2曲目が始まり、美聖と片平は再びステージへと顔を向けた。
幸せな時間は秒だと言うが、あながち嘘ではない。気がつけば、ライブはアンコールを迎えていて、最初は黄色い声援を上げていた客席からも泣き声などが聞こえてくる。
アンコールでcoc9tailは、アレンジされたライブTシャツを着て、それぞれがメンバーカラーのマイクを手にステージへ戻ってきた。
デビュー曲を歌い上げ、続けざまに年明けに発売されるアルバムから美聖がMVを務めた一曲を歌う。
もう既に会場は涙で包まれていた。美聖も息吹のグッズタオルが涙でびしょびしょだ。隣の片平も美聖に打ち明けてから鞄から取り出した優衣のビッグタオルで涙を拭いている。
ステージ上を歩き回ってファンサービスをしていたcoc9tailは曲の終わりに合わせて中央ステージに戻る。
「今日は楽しんでいただけましたかー?」
横に一列で並んだ9人の真ん中で、瑞希は会場に手を振りながら言う。会場から拍手が返ってくる。