#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化





ステージ上のスクリーンに瑞希が映し出される。彼女は一頻り会場に手を振り終えたあと、ペンライトの輝く空間を見つめて、笑顔から一変、顔をくしゃりと歪ませる。




「ごめんなさい…最後まで笑顔で終わらせようと思ったのに」




大きな瞳に溜め込んだ涙を零しながら瑞希が言う。彼女の涙に釣られて会場からもメンバーからも涙の啜る音がする。



瑞希の隣にいる息吹だけが綺麗な笑みを浮かべたまま、瑞希の背中を優しく撫でている。



瑞希は泣きながらマイクを口元に運び、途切れ途切れに最後の挨拶をする。



「最後まで一緒に走り抜けてくださってありがとうございました!」



大粒の涙を頬に伝わせながら、それでも笑顔を見せる瑞希に会場から盛大な拍手が贈られる。どんどんメンバーの涙ながらの挨拶が終わっていき、最後に息吹となる。



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