#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「はーい。木村さん、あと一回だけ振り確認していい?お願いっ」
「だめ。メイが今夜はみんなで焼肉って約束したのに息吹が来ないって泣いてるよ」
「メイ、昨日も焼肉食べてたよ。」
「メイは毎日焼肉がいいんだもの」
ふたりで笑う。孤高の女王に見える息吹は実は誰よりもメンバー全員が大好きなのだ。
練習室の戸締りをして、着替えから戻ってきた息吹を送るために車に乗り込む。息吹は後部座席でスマホを見つめる。
「メイが泣いてる動画送ってきてる。明日、美味しい焼肉ご馳走してあげなきゃな」
「甘やかさないでよ。今日は莉奈にお肉食べさせてもらってたんだから、あの子」
「え?そうなの?もう、メイってば」
あははっと白い歯を見せて楽しそうに笑う息吹は、先程まで練習室で踊っていた彼女とは別人に映る。もちろんその美しさは変わらない。