#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
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「うっ……ぐす、」
「ちーやん、ティッシュ取って…ずび、」
「あいよ……」
時刻は23時55分。中途半端に残った鍋をそのままに、空き缶がこたつの周りに散らばっている。
5分前に終わった紅白歌合戦の余韻を引き摺りすぎて誰もその場から動けない。トイレに行きたいと言っていた美聖推しもテーブルに突っ伏したままだ。
紅白の後に流れ始めた年越しのための除夜の鐘と、うちの近くの神社で鳴らされる鐘の音が重なる。
「箱ティッシュ空です」
「4箱目だが?」
ゴミ箱に山のように丸めたティッシュが積もっている。そこには全員の涙と鼻水が含まれている。大泣きしたのだ。