#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化






「息吹は、アイドルっていう括りを自分で厳しくし過ぎなんじゃない?恋愛禁止だってデビューから2年でもう解けてるのをファンだって知ってる。そういう意味でも、もう、前よりも易しくなってるのよ」




息吹は何も言わない。肯定も否定もしない。


木村は本音を言えば、息吹が輝かしい世界からいなくなることを望んでいなかった。


ファンと同じように、彼女にはどんな形でも、私たちを魅了し続けて欲しかった。



信号が青になり、再び車が走り出す。既に街は眠り、等間隔で置かれた電灯が車の上を滑っていく。




「SH/KIの遊佐だって、結婚したって今も男性トップアイドルとして最前線で活動してる。他のメンバーどころか本人さえ何の影響もない。持っていき方さえ誤らなければ、そういうものなのよ」




やり方さえ間違わなければ。ファンへのアプローチの仕方さえ誤らなければ。


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