#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
いや、息吹なら、その存在なら、解散後の活動に何の影響もないはずだ。
木村がcoc9tailの解散をメンバーに打ち明けられた時、号泣する周りと違って、息吹はしっかりと地に足をつけていた。
彼女の涙を、木村はまだ一度も見たことがない。
そして、息吹の本音を、木村は一度も聞いたことがない。
「息吹、少しは力を抜いて広い目でこの先を考えてみるのもいいと思うわ。まだ時間はあるんだから」
そう言いながら時間なんて全然ないことを、木村も息吹もわかっていた。解散まで、あと一年を切っている。
「……うん」
息吹は窓の向こうを眺めながら、小さく頷くだけだった。