#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
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片平は、ようやく見つけたその姿に溜息を零しながら近づいた。
「台本も読まず、共演者と話に花を咲かせるわけでもなく、ひとり何してるんですか、自販機の隣で。最初新種の自販機かと思いましたよ」
スマホでcoc9tailのMVをひたすら観続けていた美聖は、マネージャーの片平にイヤフォンをぶち抜かれて顔を上げる。
その顔を見て片平はギョッとした顔になる。
「また泣いてるんですか!?」
「え、嘘、俺泣いてる?」
「鏡見なくてもわかる量ですよ」
澄んだ瞳から綺麗な雫が、頬を伝っている。