#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化





翠は、一見陽気なだけの女の子に見えて、女性雑誌のモデルという戦いを常に勝ち続けてきた猛者である。


彼女の言葉尻は常にテキトウなのに、その核は確実捉えて離さない。



「でも、柊さんは別にそれでも気にしてないっぽいのは、やっぱりファンなだけであって、恋愛ではないってことですよね?」



翠は畳み掛けるように言うと、コーヒーをひとくち飲む。横目でちらりと美聖を見る視線は獲物を捉える時の肉食のそれに似ていて、片平はぞっとする。


美聖は、翠の猛追に構うことなく穏やかな微笑みを作っていた。




「そこまで深く考えたことなかったな。」




今まで散々深追いされた中で彼なりに編み出した逃避術。美聖程の容貌であれば、芸能界の中でも女性に人気があるのは当然だ。


だが、美聖は一切靡かない。揺るがず、必ず、息吹のファンで在り続ける。



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