#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「それでは、来週から本格的に動き出しということで」
「はい。よろしくお願いいたします」
打ち合わせが終わり、部屋に片平と美聖になった瞬間、彼はテーブルの上に顔面から突っ伏した。
ゴン、という鈍い音に片平は慌てる。その国宝級の顔に傷でも付けられたら困る。
「だ、大丈夫ですか」
「……うん。ちょっと珈琲買ってくる」
「僕が行きますよ。」
「ううん。少し外の空気も吸いたいから」
顔を上げた先、美聖の額は少し赤みを帯びている。
撮影の為に茶髪にセンター分けの髪型になっているせいで、その赤がよくわかる。
片平に心配をかけまいと、へら、と力なく笑う美聖に、彼は「気をつけてくださいね」しか言えなかった。