#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「君の一途さって割と気に入ってたんだけどな。……おれに似てて。」
スマホを向けたまま周音は、水たまりに雨が落ちるような、ささやかな声で言った。
反応の遅れた美聖に、周音は目尻を垂らした笑みで牽制すると、美聖の肩をぽん、と叩いて踵を返す。
「忙しいのに時間取らせてごめんね。じゃあね、"ただの息吹のファン"」
ひらりと片手を上げて行ってしまった周音に、美聖は混乱したまま脳内のまま、慌てて頭を下げた。