好きとか愛とか
「足くじいたのか?」
立ち上がらない私を見て、さっき躓いたせいで足をくじいたと思った壱矢が速度を早める。
正直、激しい言葉と感情に身を預けすぎて、立つ気力もなくなっていた。
走り回ったことも追い討ちをかけている。
「近づかないでくださいっ、私変なんです!今の嫌な自分なんか誰に見られてもいいのに、先輩じゃ嫌なんですっ。あんなに怒って酷いこと言ったのに、今はもうそんなことどうでもよくて、自分が分かんないんですっ。先輩の顔を見たら先輩のことばっかりっ、このまえからっ、先輩といるとずっとモヤモヤして、この辺が痛くて、でも先輩がいないと落ち着かないし先輩のことばっかり考えて、先輩に触って欲しいって思ってしまって、自分じゃおさえられないんです」
顔を隠して踞る。
汗がこめかみを通って顎へ流れ落ちる。
背中にも汗が吹き出していて、とにかく自分の存在自体が恥ずかしさのかたまりだった。
狭くなった視界に、壱矢のスニーカーが映る。
私の前に座ったのが、落ちた影の大きさで分かった。
「そんなこと聞いて、俺が離れると思う?」
「ダメですっ、私、先輩のことしか考えられなくなるっ、先輩ばっかり頼ったら、もう一人じゃなにも出来なくなるっ、そんなの困ります」
こまるのぉ…、ここまで来てやっと、目頭が熱くなってきた。
さっきまでは全然平気だったのに、弱さが剥き出しになったタイミングで溢れようとしている。
こんなところで泣けない。
腹の奥に力を入れて、せり出してくる涙を必死でこらえる。
「なんで困るんだよ、俺のことだけ考えてりゃいいだろ」
「駄目ですっ先輩のことばかりで自分じゃないんです。こんなの私じゃないっ。考えたくないのに考えてしまうし、どこにいても先輩ばかり思い出して、先輩がいまここにいてくれたらって願ってしまうんです」
こんなの私じゃない…。
立ち上がらない私を見て、さっき躓いたせいで足をくじいたと思った壱矢が速度を早める。
正直、激しい言葉と感情に身を預けすぎて、立つ気力もなくなっていた。
走り回ったことも追い討ちをかけている。
「近づかないでくださいっ、私変なんです!今の嫌な自分なんか誰に見られてもいいのに、先輩じゃ嫌なんですっ。あんなに怒って酷いこと言ったのに、今はもうそんなことどうでもよくて、自分が分かんないんですっ。先輩の顔を見たら先輩のことばっかりっ、このまえからっ、先輩といるとずっとモヤモヤして、この辺が痛くて、でも先輩がいないと落ち着かないし先輩のことばっかり考えて、先輩に触って欲しいって思ってしまって、自分じゃおさえられないんです」
顔を隠して踞る。
汗がこめかみを通って顎へ流れ落ちる。
背中にも汗が吹き出していて、とにかく自分の存在自体が恥ずかしさのかたまりだった。
狭くなった視界に、壱矢のスニーカーが映る。
私の前に座ったのが、落ちた影の大きさで分かった。
「そんなこと聞いて、俺が離れると思う?」
「ダメですっ、私、先輩のことしか考えられなくなるっ、先輩ばっかり頼ったら、もう一人じゃなにも出来なくなるっ、そんなの困ります」
こまるのぉ…、ここまで来てやっと、目頭が熱くなってきた。
さっきまでは全然平気だったのに、弱さが剥き出しになったタイミングで溢れようとしている。
こんなところで泣けない。
腹の奥に力を入れて、せり出してくる涙を必死でこらえる。
「なんで困るんだよ、俺のことだけ考えてりゃいいだろ」
「駄目ですっ先輩のことばかりで自分じゃないんです。こんなの私じゃないっ。考えたくないのに考えてしまうし、どこにいても先輩ばかり思い出して、先輩がいまここにいてくれたらって願ってしまうんです」
こんなの私じゃない…。