好きとか愛とか
誰かが何をしようと、私をどう見ていようと、どう思われようと、これっぽっちも気にならなかったのに。
壱矢が自分をどう見ているのか、気になって他のことを考えることさえ出来なくなり始めている。

もう認めるしかない。
たとえ答えが違っていても、この感情の答えは一つしか思い当たらなかった。
私の知らない感情の唯一…。
名付けるなら、

 「これは、もう…恋なんですか?」

恋しか、思い付かなかった。
それ以外の言葉は全部しっくり来ない。
一番心が納得するものだった。

 「それは自分で決めろ」

 「そんなの、困ります。そんなの…」

 「だからなんでこまんの??」

壱矢が困り果てて笑う。

 「私、他の事出来なくなります。なにも考えられなくなります。先輩がどうやったらずっと私のそばにいてくれるのか、私だけに触ってくれるのか、私だけ構ってくれるのか、そればかり考えてしまいます」

 「それもう、俺のいいように解釈するから」

真剣な声がして、思わず顔を上げるとそこには、声と比例した真摯な壱矢がいた。
汗が吹き出て、私を探し回っていたことがうかがえる。

 「はい…」

どう解釈されてもいい。
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