好きとか愛とか
そうなると野宿や満喫といった場所になってしまう。
贅沢を言えば、散々走り回ってそれは少しきついため、出来たら布団の上で寝たい。
お互い思っていることは同じで、第一希望はどこのホテルでもなんのホテルでもいいから布団のある場所だった。
デザートのりんご飴も含めて買い物をし終えた私たちは、早々にその場を後にした。
浴衣を着た親子連れ、子供やカップル達とすれ違う。
みんな祭りの空気を満喫し、楽しそうに笑っていて幸せ一杯の顔をしている。
私と壱矢はどう見えるのだろうか。
状況が状況だし、普段から顔面の表現力が乏しい私からは楽しいなんてものは溢れ出ていない。
分かれる寸前のカップル、とかが妥当だろうか。
そう考えると、こんな時なのに少し笑えた。
バスに乗り、いつもと違う道を揺られて移動する。
外では気付かなかったソースやりんご飴の匂いが、レジ袋から盛大に放出されている。
家から離れた場所にいることもあり、さっきよりも緊張が和らいだ私の胃袋が空腹を訴えてきた。
大きな音でお腹が鳴って、でもそれが二重に聞こえた気がして隣を見ると、壱矢がお腹を押さえて笑っている。
「すげぇ音」
声に出して笑って、同時に鳴ったことも可笑しくて、私も声に出して笑ってしまった。
お互いに顔を合わせてもう一度吹き出した。
すると壱矢が急に顔を近づけてきて、
「…っ!」
バスに乗って人前だというのに、構わず唇が重ねられた。
ビックリして窓まで飛び退いた私を、意地悪な顔をした壱矢が見ている。
「もう遠慮しねぇよ?」
それは、私が壱矢を好きだということが分かったからだろか。
壱矢が私を好きだというのが、聞き違いじゃなかったからということなのか…。
「もうフリじゃない。本物だからキスもする」
言われてみれば、私と壱矢は偽の彼氏彼女だった。
でも今は違う。
壱矢の言う“本物”の言葉で、付き合っている関係なんだと認識できた。
贅沢を言えば、散々走り回ってそれは少しきついため、出来たら布団の上で寝たい。
お互い思っていることは同じで、第一希望はどこのホテルでもなんのホテルでもいいから布団のある場所だった。
デザートのりんご飴も含めて買い物をし終えた私たちは、早々にその場を後にした。
浴衣を着た親子連れ、子供やカップル達とすれ違う。
みんな祭りの空気を満喫し、楽しそうに笑っていて幸せ一杯の顔をしている。
私と壱矢はどう見えるのだろうか。
状況が状況だし、普段から顔面の表現力が乏しい私からは楽しいなんてものは溢れ出ていない。
分かれる寸前のカップル、とかが妥当だろうか。
そう考えると、こんな時なのに少し笑えた。
バスに乗り、いつもと違う道を揺られて移動する。
外では気付かなかったソースやりんご飴の匂いが、レジ袋から盛大に放出されている。
家から離れた場所にいることもあり、さっきよりも緊張が和らいだ私の胃袋が空腹を訴えてきた。
大きな音でお腹が鳴って、でもそれが二重に聞こえた気がして隣を見ると、壱矢がお腹を押さえて笑っている。
「すげぇ音」
声に出して笑って、同時に鳴ったことも可笑しくて、私も声に出して笑ってしまった。
お互いに顔を合わせてもう一度吹き出した。
すると壱矢が急に顔を近づけてきて、
「…っ!」
バスに乗って人前だというのに、構わず唇が重ねられた。
ビックリして窓まで飛び退いた私を、意地悪な顔をした壱矢が見ている。
「もう遠慮しねぇよ?」
それは、私が壱矢を好きだということが分かったからだろか。
壱矢が私を好きだというのが、聞き違いじゃなかったからということなのか…。
「もうフリじゃない。本物だからキスもする」
言われてみれば、私と壱矢は偽の彼氏彼女だった。
でも今は違う。
壱矢の言う“本物”の言葉で、付き合っている関係なんだと認識できた。