好きとか愛とか
学校でもきっと、同じようなことをして気に入らない物も人も遠ざけているのだろう。
壱矢からは呆れた溜め息が漏れ、怪獣同然の無茶を言う愛羅に辟易していた。
「分かるだろ?父さん。暮らせねぇよこんなの。あんたの不始末だろ。俺や壱にしわ寄せ食わせんなよ」
もう勘弁してよ…。
壱矢の本音が追加される。
これはずっと思ってきたことだ。
誰にも言わずずっとこうやって、妹のわがままにうんざりしていた。
私は壱矢の腰に腕を回して、強く強く抱き寄せた。
それを見た愛羅がまた激昂する。
興奮が最高潮だからか、目から大粒の涙がボロボロこぼれていた。
「うちが嫌ならいっちゃんだけ出てけばいいじゃない!そうしてよっ、お父さん!」
「そんなこと、できるわけ無いだろう。いいかげんにしなさいっ」
「愛羅ちゃん、ちょっと冷たいものでも飲んで落ち着きましょう?ね?」
「嫌だって言ってるでしょ!!本物のお母さんでもないくせにでしゃばらないでよ!!」
これはさすがの恭吾さんも聞き逃せず、険しい顔で愛羅に向き直る。
「愛羅っ!!!」
私が知る限りでは痛烈な、愛羅への怒声。
こんな声を愛羅に向ける恭吾さんを、私は見たことがない。
怒りが滲んだ表情も。
愛羅が喉の奥からビュっと言う音を立てて、動きを止める。
涙さえ引っ込んでいた。
さっきまで気にもならなかった蝉の声が、やたらに部屋を埋めていた。
とんだ修羅場に、誰もがその場に固まっている。
愛羅の口がへの字に曲がり、眉が急降下していく。
あ、
また泣く…。
と思った時はもう愛羅はぐずぐずの状態で、肩を上下させて息を吸い込んだ次の瞬間には、耳をつんざく喚き声が鼓膜を襲っていた。
「みんなあんたのせいよっ!!!」
私を睨み付けた愛羅が両手を振り回して襲ってきた。
強く突き飛ばされ、壱矢の腕をあっさりすり抜けた私は、勢いのままダイニングテーブルへ激突した。
椅子が倒れる音と、私が床へ叩きつけられる振動が部屋に響き渡る。
壱矢からは呆れた溜め息が漏れ、怪獣同然の無茶を言う愛羅に辟易していた。
「分かるだろ?父さん。暮らせねぇよこんなの。あんたの不始末だろ。俺や壱にしわ寄せ食わせんなよ」
もう勘弁してよ…。
壱矢の本音が追加される。
これはずっと思ってきたことだ。
誰にも言わずずっとこうやって、妹のわがままにうんざりしていた。
私は壱矢の腰に腕を回して、強く強く抱き寄せた。
それを見た愛羅がまた激昂する。
興奮が最高潮だからか、目から大粒の涙がボロボロこぼれていた。
「うちが嫌ならいっちゃんだけ出てけばいいじゃない!そうしてよっ、お父さん!」
「そんなこと、できるわけ無いだろう。いいかげんにしなさいっ」
「愛羅ちゃん、ちょっと冷たいものでも飲んで落ち着きましょう?ね?」
「嫌だって言ってるでしょ!!本物のお母さんでもないくせにでしゃばらないでよ!!」
これはさすがの恭吾さんも聞き逃せず、険しい顔で愛羅に向き直る。
「愛羅っ!!!」
私が知る限りでは痛烈な、愛羅への怒声。
こんな声を愛羅に向ける恭吾さんを、私は見たことがない。
怒りが滲んだ表情も。
愛羅が喉の奥からビュっと言う音を立てて、動きを止める。
涙さえ引っ込んでいた。
さっきまで気にもならなかった蝉の声が、やたらに部屋を埋めていた。
とんだ修羅場に、誰もがその場に固まっている。
愛羅の口がへの字に曲がり、眉が急降下していく。
あ、
また泣く…。
と思った時はもう愛羅はぐずぐずの状態で、肩を上下させて息を吸い込んだ次の瞬間には、耳をつんざく喚き声が鼓膜を襲っていた。
「みんなあんたのせいよっ!!!」
私を睨み付けた愛羅が両手を振り回して襲ってきた。
強く突き飛ばされ、壱矢の腕をあっさりすり抜けた私は、勢いのままダイニングテーブルへ激突した。
椅子が倒れる音と、私が床へ叩きつけられる振動が部屋に響き渡る。