好きとか愛とか
図書館での眠気はどこへやら、いつもと違う夜が訪れるわくわくで私はすっかり覚醒していた。
窓を開けて買ってきた夕食を食べる。
普通のサンドウィッチが特別に感じた。

食事を済ませた私は歯ブラシを持って教室を出ると、おなじ棟内にあるシャワー室へ急いだ。
ここは体育の授業などの後、汗を洗い流せるようになっていて、普段からよく使用している。
シャンプーとコンディショナーだけでなく化粧水まであり、普通のシャワールームより豪華だ。

だが、ここに来て最大のミスに気がついた。
なんということだろうか、下着とタオルを買い忘れてしまっていた。
だが今さらここを出て買いに戻るのは危険だし、なによりめんどくさい。
こうなっては仕方ない。
ライナーだけを交換して、下着は二日同じものを着けることにする。
濡れた身体は自然乾燥かドライヤーでなんとかなるだろう。

シャワーブースに入り、温度調節をして湯を出す。
熱いお湯が、埃っぽかった体を滑っていく。
たっぷり泡立てたシャンプーで髪を洗い、泡を流してコンディショナーする。
どこのメーカーのものか知らないが、南国の甘い花みたいないい匂いだ。

 「さっぱりした」

シャワー室からでると、大きな鏡の前に立って化粧水を塗る。
それから濡れた全身をドライヤーで乾かしていく。
それらが全て鏡に写し出されていて、真っ裸な自分が体をドライヤーで乾かしている姿が滑稽で、思わず吹き出してしまいそうだった。
学校独り占めだ。


< 36 / 242 >

この作品をシェア

pagetop