大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
父親が仕事の都合で地方へ転勤することが決まり、母も心配だからと一緒についていった。
広い一軒家に優介と私、姉と弟で二人暮らしがはじまったけど……
一緒にご飯を作ったり、学校に行く準備をするなど心地よい日々が続いてる。
でも、私と弟は恋人同士になれない。
家族だから。
この思いは恋心なのだろうか、いつも自分の気持ちと葛藤しながら姉らしい冷静な態度で過ごしてる。
優介は血の繋がった家族なのだと、本心を押し殺すように……
モヤモヤした気持ちで廊下を歩いてると、教室に入る直前で誰かに呼び止められた。
聞き覚えのある甲高くて甘ったるい話し方は……
「お姉ちゃん、牛乳もってきたよぉ~」
振り返ると、アノ子が笑顔で立っていた。
手には、紙パックの牛乳が……
すぐ後ろに優介もいて様子を伺ってる。
「いらないわよ、そんなもの!」
イラッときたので強く言ってしまった。
傷ついた沙也香は、手に紙パックの牛乳を持ったまま涙目になってる。
「うそ、冗談よ。ありがとう」
私は歩み寄って牛乳を受け取り、作り笑顔を見せる。
その表情を見て、沙也加もすぐに微笑みかえしてきた。
そして、余計な事を言ってくる。