大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
私が帰宅するまで優介と二人きり。
すごく嫌だけど、早く帰れないのだからしかたない。
食卓テーブルに視線を向けると、私の晩ご飯が用意してある。
何も文句は言えない状況……
「じゃあね、アタシ帰るから。お姉ちゃん優介バイバ~イ」
「気をつけてね」
家を出て行こうとするアノ子の後を、優介が追い掛けてく。
「俺、ちょっと沙也香おくってくる」
「暗い夜道、女の子一人じゃ危ないわよね、いってらっしゃい」
優介の背中を見つめて、私は見送る。
玄関の扉が閉まる音を耳にしながら、大きな溜息をついた。
「私は優介の姉だけど、いちおう女子なんだからね……」
帰宅が遅くなっても、私を心配して向かえに来てくれたことなんて一度もない。
同級生で幼なじみの異性と、家族で姉っていうだけで、こんなにも扱いが冷遇されるなんて悲しいよ。
そう考えるとイライラしてきたので、アノ子が作り置きしてった夕食をパクパクと食べてやった。