大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


「妻が入院してて、僕が家に一人だけってことも美優くんは理解してるよね」


「はい……」


「家に戻ることは、できないのかな?」


「……」


 私はマグカップを包み込むように両手で持ったまま、無言で顔を左右に振る。

 その仕草を見た先生は、優しく微笑みながら口を開いた。


「所在地を弟さんに連絡して、安心させるなら……しかたない……」


 私は無言で首を縦に振り、頷いて見せる。

 でも、スマホを家に置き忘れてきたことは先生に秘密だけど……


「先生、さっそくですけど、お風呂つかってもいいですか?」


「それはちょっと……」


「じゃあ、失礼します」


 先生が戸惑ってるうちに、私は行動へ出た。

 小走りで歩き進み、制服を雑に脱ぎ捨て浴室に入りシャワーを浴びる。


「美優くん、バスタオルはここに置くが……」


「どうしたんですか!?」


 先生が脱衣所で何か言ってるけど、バスルームの扉越しなのとシャワーの水の音でよく聞き取れない。


「制服を脱ぎ散らかして、だらしない……」


「ごめんなさい先生!」





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