大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
グイグイと攻める押しに弱い性格を熟知してる私に、先生も諦めムード。
「美優くん、キミは寝室で休みたまえ。僕は長椅子で寝る」
「ですよね……」
優しくてめったに怒らない先生、さすがにやり過ぎたかも。
今夜は疲れたので早く眠りにつきたいけど、重大な報告を先生にしなくてはいけない。
「先生、大切なお話があります……」
パジャマ姿の私は、先生と向かい合う形で長椅子に座る。
顔の表情を凜と引き締め、先生の目を見つめた。
こんな格好で私の思いが伝わるか不安だけど、背筋を正して真剣な眼差し。
先生に私の心構えが通じたのか、視線を合わせて真摯な態度で話しを聞こうとしてる。
「今度のコンクール、曲を変更します……」
「なんだって!本番は一週間後なんだぞ!」
温厚で優しい先生でも、さすがに怒った。
無理はない。
秋に開催される大きなコンクールに向けて、これまで一緒に頑張ってきたのだから。
「何を言われても変更します」
「ダメだ、絶対にダメ!うまくいくはずがない!」
「それでも変更したいんです」