大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


「美優、留守のあいだ色々ありがとうね」


 冷たい態度の父とは正反対、私をねぎらって優しい言葉をかけてくる笑顔の母。


「うん……」


 母とは阿吽の呼吸で、言葉にしなくても意思疎通できていた。

 女同士だからなのかもしれないけど、父とは分かり合えないまま再び離れて暮らすことになる。


「ただいま……おっ、もう帰ってきたのか!聞いてた時間より早いぜ?」


「えっ、優介アンタ家にいなかったの?」


「7時前には帰ろうと思ってたから、驚いた」


 以外な場所で家族集合、玄関で久しぶりの顔合わせ。

 開いたままの玄関の扉、道路に立って様子を見ていた沙也香が私に向かって手を振ってる。

 そして、すぐに歩き出し立ち去って行った。


「アノ子と一緒だったの……」


「……まあな」



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