大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


 覚悟を決めたのか、母は静かに話し始めた。


「お父さんと、お母さんはね……」


 私と優介は、口を挟まずに黙って聞く。


「再婚なの……」


 私と優介は、母の言葉を理解できていない。


「お母さんは幼い美優を連れて、お父さんと結婚したの。当時、二歳になったばかりの美優は覚えてないはずよ……」


 物心ついたときから父は私の側にいたし、何の疑いもせずに今まで過ごしてきた。

 両親が再婚だったなんて、私は母の連れ子になるの?

 じゃあ、優介は……


「優介はな、お父さんと前妻の間に生まれた子供なんだ」


 優介が生まれてすぐに離婚、一歳にもならないお前を俺が引き取ったと父は話す。


 お父さんは優介、お母さんは私を連れて再婚したってことなの……


 でも、赤ん坊の時の記憶なんてないし、気づいたら優介は家族として私の弟だった。

 私が二歳、優介が一歳の時から家族として一緒に暮らしてきたことになる。


「じゃあ、優介の母親は別にいて、私にも本当のお父さんがいるってことなの?」


 私の問いかけに、母は黙って頷くだけ。

 父は難しい顔をしたまま、口を真一文字に噤んでる。



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