大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


 幼い時から、いつも私の側にいてくれた男の子。


 泣いたり笑ったり、時には喧嘩だってした。

 私の事を誰よりも理解してくれて、落ち込んでた時は応援だってしてくれる。


 お互いに成長して高校生になり、放課後の制服デートで楽しい時間を過ごしていた時、私は私は気づいてしまったの。


 優しい笑顔で、いつも私に微笑みかけてくれる君のことが好きなんだって。


 弟で家族で肉親という、越えられない壁があるって分かってたけど我慢できなかった。

 私の恋心を、年下の男の子に思わず告白したけど相手は弟の優介。

 家族で肉親で俺の姉だと突き放され、顔を合わせるのも気まずくて避けられてしまったけど、後悔はしてない。

 
 私は失恋して、落ち込んでしまったけど……

 お互いに血のつながりは無く、姉弟の関係が成立しないんだったら恋愛に発展したっておかしくないよ。


 切なくて報われない恋だとばかり思っていたけど……

 優介を好きになった気持ちに、偽りはない。



 冷静で無表情な私を見て、両親は唖然としてる。

 この時とばかりに、母が口を開いて私に何かを伝えようとしてきた。


「あのね美優、あなたの本当の父親は……」


「お前、それは言わない約束だろ!」


 父が鬼の行相で声を荒げながら母の言葉を断ち切りる。

 母は私に何か大切な事を言いたそうだったけど、口を噤んでしまった。



 私が知らない本当の父親って……



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