大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


 気になるけど、問い詰めれば両親の仲が険悪なムードになってしまいそう。


 出張先で二人の時間ができて、私と優介に再婚のことを話そうと決心したんだと思う。

 ただ、私の本当の父親については話せる時期ではないらしい。


「優介が心配だから、私も行くね。たぶん、家に帰ったと思う」


 そう話して椅子から腰を上げ、立ち上がった私に両親が言ってくる。


「美優は大丈夫なのか、その……」


「驚いたけど、話してくれてありがとう」


 言葉を詰まらせる父に続いて、母が口を開く。


「お姉ちゃんだからね、たのむわよ」


「そうだね……」


 血が繋がってなくても、私が優介の姉という立ち場は変わらない。

 弟が心配で様子を見に帰ろうとしてる、冷静沈着な頼りがいのある姉。

 両親からは、そういうふうに見えてるのだろう。


 顔の表情には出さなかったけど、私はレストランから早く立ち去りたかっただけ。

 弟の様子を心配する姉を装い、店を出て自宅へ向かう。



 私って、最低でズルイ女だ……



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