大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
「あっ、もうこんな時間!」
午前と午後の演奏は終了して、あとは午後三時からのファイナルステージ。
地元のピアノ教室が集まって協賛する、ピアノ演奏会。
「ちょっと緊張するな……」
遅れて姿を見せた私だけど、先生は冷静に対応してくれた。
というより、早く着替えて準備をしなさいという、無言の圧力を感じたりもする。
脳天気な私は、通路にディスプレイされてるカジュアルな洋服に目を奪われていた。
足を止めて見入ってたりもするから、先生の焦りも頂点に達しそう。
「美優くん、早くしたまえ……」
「すいません先生!」
私は足早に通路を歩き、用意された控え室で素早く着替え準備を始める。
そして、いよいよステージへ向かって歩き始めた。
地元で一番大きなショッピングモール、そのセンターコート。
私は目の前にある特設ステージの階段を昇り、中央へ向かう。