大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
この町を旅立つ夜、泣きながら抱き合って私たちは両思いになった。
お互いに好きだと分かっても、姉弟という壁は越えることができないと確信する。
誰が見たって、優介と沙也香はお似合いの夫婦だ。
私の居場所は、どこにも無いよ。
切なくて報われない恋は、やめたほうがいい……
「さよなら、優介……」
私に寂しそうな背中を見せ、愛する君は幼なじみと子供の所へ戻っていく。
優介を好きな気持ちは変わらない。
君たち夫婦と子供のことを、私は離れた場所から見守るよ。
私は遠い海外へ行ってしまうけど、身勝手な姉を許してください。
心の中で君のことを思いながら、私も優介に背を向けて先生が待つ控え室に向かう。
これからは血の繋がらない姉として、
遠い場所から君のことを思ってるからね……