大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
私の目から頬を伝って涙がポトポト落ちる。
手の甲で拭っても、溢れ出る涙がとまらないよ。
「大好きな先生が、血の繋がった本当の父親……」
他の生徒より親身になってピアノレッスンしてくれた。
学校生活の愚痴も、嫌な顔をしないで聞いてくれる。
優介と喧嘩をして家を飛び出した時は、何も聞かずに家へ泊めてくれた。
月明かりに照らされながら、二台並んだグランドピアノで一緒に練習。
コンクールで緊張する私を、最優秀賞へ導いてくれた。
ステキなドレスを、私にプレゼントしてくれたり……
先生は、私のことを自分の娘だと知ってたんだ……
「お父さん……お父さん……」
優介との仲が険悪になった時も、
先生……お父さんがいたから乗り越えられた……
「いつも私のそばで、見守ってくれてたんだね」
止まらない涙と、たくさんの思い出。
涙で濡れた母からの手紙を握り締める私。
海外へ向かう飛行機の中で、私は目に涙を溜めながらつぶやいた。
ありがとう、お父さん先生……
~fin~